プロアングラーによるルアー開発の情熱から生まれしルーツを探る
自らが手掛けるルアーシリーズを世に送り続けるプロアングラーにとっての「モノ作り」とは何か。
そして、発売から数多の年月が経っても色あせない、プロアングラーが自ら手掛けたルアー誕生のルーツ(源流)を探る。
それが、「Roots of Deps(ルーツオブデプス)」。
第2弾は、ハンドメイドルアービルダーであり、桧原湖や猪苗代湖でのプロガイド「K-RO Guide Service(ケーロウガイドサービス)」を営むプロアングラー・渡部圭一郎氏が手掛けるインセクト系ソフトベイト「KROMUSHI(ケロムシ)」の源流に迫る。
まずは、モノ作りをはじめたキッカケについて
渡部氏がルアー作りをはじめたキッカケとなったのは、中学生の頃に遡る。
幼少期から父親に連れられてはじめた渓流でのエサ釣りを元に、いろいろな釣りをする中でルアーフィッシングと出会う。
ルアーではバスはもちろん、いろいろなターゲットを狙う機会も増え、その当時にルアー雑誌を見てルアーを手作りできることを知る。
中でも、木を削って作るルアービルドの存在を知り、その材料としてバルサ材は削りやすいと知る。
ここから渡部氏のルアー作りがはじまることとなる。
ルアーフィッシングを知り、自作ルアーも使いつつ、移動手段も増え、いろいろな場所でいろいろなルアーを使っていたが、その当時は大きなルアーがなかったとのこと。
興味を持つことになった大きなルアーの代表格が、デプス奥村社長がメディアで使っていたBカスタムであったりデスアダー6inchといったデプスのルアー。
こういった大きなサイズのルアーを知ることで使うルアーの幅も広がり、自身のルアー製作にも変化が訪れる。
自分で使いたいルアーの木型を用意してシリコン樹脂を作ってワーム素材を流し込む。そして大型のスイムベイトらしきモノを作ってみたとのこと。
このルアー製作から、本格的なルアー製作を意識しはじめた。
渡部氏が本格的にルアー製作に取り掛かったのは、フィッシングガイドをはじめる少し前。
その理由が、自分の中で理想とするアクションのルアーがなかったこと。
この理想を形にするべくオリジナルのルアー製作を開始した。
渡部氏が本格的にルアー作りを開始した当時は、エバーグリーンのエスドライブやフィッシュアローのモンスタージャックなどのジョイントビッグベイトが大流行で、フィールドでも主流のルアーだった。
それもそのはず、大型ルアーの方が間違いなくビッグサイズを引き寄せることができたから。
そういった流れもあり、最初に作ったのはウッド製のジョイントビッグベイト。
氏いわく、いったいどんな素材で作ったかまで覚えてないそうだが、3ピースジョイントでボリュームのあるビッグベイト。
このファーストモデルを見る限り、この時点でルアーのシェイプや表情、カラーリングに渡部氏のコダワリが見える。
ケロムシ誕生秘話
ルアー製作とフィッシングガイドを開始してから、虫型のルアーを作りはじめることとなるが、氏の代表的な虫ルアー・サンダルンの元になったルアーを作ったのは、ガイドをはじめて1-2年目のこと。
木を削るのもよいが、スポンジ素材であれば加工するのも簡単じゃないか?
これがサンダルンの素材を決めた大きな理由。
自分が住む場所はハルゼミが多い地域でもあり、ホームフィールドの桧原湖は虫系ルアーへの反応が比較的よいことから、自分が使いたいモノを作っていった。
まずはスポンジ素材でフォルムを虫に寄せ、ラバーを使って脚や触覚などを模したモノを製作。
完成までいろいろなタイプも作ったと思われるが、作ったモノを使うと思いのほか釣れたとのこと。
そのサンプルをベースに製作し、完成にいたったのが、サンダルン。
このサンダルンを元に、新たに生まれたのが、ワーム素材でフックが隠せるタイプのモノ。
その理由として、ガイドゲストが使った際に慣れない方だと木などに引っかかりやすいところ。
そして、引っかかったルアーがチョウチン状態で着水した時に、強烈な反応を見せたバスがいたこと。
サンダルンに手を加えたモデルも使っていたが、さらにスリ抜けのよいモノがあってもよい。
時期によっては狙うサイズも大きいため、もう少し大きいフックを使いたい&しっかりフックアップしたい。
引っかかりにくいことと、この釣り方を両立できるルアーは作れないか?
その思いを形にしたのが、自作ワーム・エルクシケーダー。
ワーム素材で作ったのはオフセットフックを使えることと、ルアーを浮かせるためだが、素材や形状の兼ね合いからか、水面に浮かせるのが難しかったとのこと。
そこで考えたのが、ワーム素材に浮力のある素材をまぜること。
ドライフライのエルクヘア・カディスに使用されているフェザーを細かくカットし、ワーム素材にまぜることで、浮力が高まるのではないか?
その考え方は的中!
手間こそかかるが、自身の理想に近づいたのは、いうまでもない。
この時に使っていたのが自作ワームのマスターモデル。
ベースとなる型も精密に作っていたが、細かい部分までキレイにワーム素材を流し込めるのはコレが限界。
ただ、この時点でエルクシケーダーは自身も納得の完成度。
ガイドゲストも自身も数多のビッグフィッシュをキャッチできるアイテムとなる。
このエルクシケーダーを元に、デプスで新たに製作してもらったのが、ケロムシ。
渡部氏のエルクシケーダーは製造上、薄くて軽かったため、フッキング性能は高かったが、飛距離の面で物足りなさを感じる時もあった。
そこで、オリジナルモデルよりもボディにボリュームをもたせることで、キャスト性能もさらにUP。
さらに、渡部氏は細かい振動で動いて微波動でアピールするモノより、水を叩くような波動が理想だった。
エルクシケーダーやサンプルのケロムシが持つパドルが、水面で水をパタパタ叩くアクション。
これが遠距離からでもスモールマウスでもラージマウスでもソートーな集魚効果を発揮した。
そこで、ラバーなどではなく厚みのある羽根や脚のようなパドルを4本付けたとのこと。
ベースのエルクシケーダーが持つ浮力と、新たに融合したボリューム&集魚パワーで完成したケロムシ。
今まで以上に投げやすく、ブッシュを貫いて落とし込めるスナッグレス性も確保。
オフセットフックに対応する高浮力ボディの『ケロムシ』は、虫系の釣りに必要不可欠な飛距離、スナッグレス性能、フッキング効率、アクションを備えたルアーです。
虫やカエルを思わせる4つのパドル形状ウィングは、落水して水面をもがきバタつくような波紋と波動を出しながらも移動距離を抑えた一点シェイクを可能にしてくれ、オフセットフックの使用を可能にするボディの高いスナッグレス性能により、オーバーハング奥やブッシュ、枝に吊るすチョウチン釣りをも容易く、虫を捕食しているバスへ確実にアピールしてくれ水面系のエキサイティングなシーンを体感させてくれる必携ルアーとなってくれます。出典:デプス
自重があって誰でも投げやすいうえ、理想とするアプローチと水押しで簡単に魚を呼んでくれる。
ホームフィールドをはじめ、どこのフィールドでも扱いやすいインセクト系ソフトベイトとして完成!
それが、渡部氏の手掛けるケロムシ。
Roots of Deps 渡部圭一郎×ケロムシ