多連結ジョイントノイジー・エアロツイスターを手掛けた理由
デプスではWEBメンバー限定販売のアイテムでもある多連結ジョイントノイジープラグ「エアロツイスター」。
ベースになったのは、渡部氏がハンドメイドで製作していたモデル。
このルアーを作ったキッカケは、ホームグラウンドでもある桧原湖のシチュエーションに起因する。
桧原湖には赤土で形成されたバンクがあり、そこはエビが非常に豊富なエリアとのこと。
こういったエリアでは、もちろんエビを捕食するスクールがリンクする。
これらの魚は虫系ワームなどでも食わせることはできたが、意外と難易度が高い。
食わせるにせよ、追いかけるにせよ、テクニカルなアプローチが必要だった。
そんな中で渡部氏は、大型ルアーが好きなこともあって、スイムベイトやノイジー系プラグを使っていたが、ある時、大型ノイジーの激しいアクションや波動に異常な反応を示すことが分かった。
この経験を元に製作したのが、ハンドメイドのエアロツイスター。
完成版になるまでの軌跡
自身の経験で製作しはじめた多連結ジョイントノイジーのエアロツイスター。
特長的なのは、ボディシェイプとカップ。この作りになった経緯は?
渡部氏いわく、エアロツイスターの元になったのは、個人的に好きなナマズ。
NZクローラーと同じく、ナマズの顔を元に削り込んでたどり着いた面持ち。
初期モデルは全長もカップも今のサイズより1.5倍ほどあり、さらに大きいモノ。
ボディサイズだけじゃなく、巻いた時の動きやアピールも激しかったそうだが、桧原湖のバスはそれを超える反応を示してくれた。
ただ、表層を高速リトリーブという少々特殊な使い方だけに、このサイズ感ではスモールマウスのミスバイトも多発。
使う分には楽しいが、ミスバイトが多いのはもったいない。
自作のエアロツイスターは使い方に合った状態で、さらに乗りをよくするため、ボディ全体をコンパクト化することになった。
サイズは少し落としたが、激しさはそのままか、それ以上。
こうして仕上がったのが、このモデル。
この段階で、サイズは小さくなったが高速リトリーブでもハイアピールできるタイプとして進化。
この時点でエアロツイスターの原型が完成した。
3ピースボディのエアロツイスターは当初、3個のダブルフックを上下逆向きにセットしていた。
当初はベストだと感じていたダブルフックだったが、高速リトリーブで使うと乗らない事例も発生。
とにかく巻くスピードがめちゃくちゃ速いということ。
ここからまた微調整で、ダブルフックからトリプルフックにチューン。
フック位置も調整しながら現在のトリプルフックセッティングに落とし込まれた。
命を吹き込むカップはポリカーボネイト
エアロツイスター最大の特長は、水面を高速リトリーブで巻くことで、今までにない激しいアピールをしてくれるところ。
その激しいアクションを発生させるのが、ボディ形状&ジョイントと、ポリカーボネイト製カップにある。
渡部氏いわく、初期のモデルはアルミのカップを自分でカットして作っていたそうだが、水当たりが強すぎてバランスを崩してしまったり、使い込むうちにカップの形状も変形してしまう。
アルミからステンレス素材に変えたりもしたが、金属製のカップだとラインが擦れて切れてしまうこともあった。
金属ではダメとなって、最終的にたどり着いたのが、柔らかい素材。
高速リトリーブが基本のエアロツイスターは、水を受けるだけじゃなく、受けた水を流すことも必要。
そこで、柔らかいポリカーボネイト素材にすることで、アクションレスポンスも向上した。
オリジナルから量産モデルへ
オリジナルモデルとして納得いく性能になったエアロツイスターは、桧原湖のイベント時にデプスの開発陣から量産化のオファーを受ける。
この時、渡部氏の脳裏によぎったのは、かなりキワどいルアーだけど大丈夫なのか?ということ。
完成していたエアロツイスターは、センターとフロントのフックが絡む時もあるぐらいで、ほかに問題はなかったそうだが、
氏が自作ルアーでもっともこだわるトラブルがない使いやすさと快適さをキープするためのテストが開始された。
3フックでトラブルのない使用感を実現するため、フックのサイズや位置を細かく調整し、 すべてのフックが干渉しないバランスに設計。
もちろんボディはウッドではなくABS素材。全体のバランスもオリジナルと同じように作り込まれる。
そこで完成したのが、量産型のエアロツイスター。
ファストリトリーブ特化型カップノイジー。
2022年度デプスウェブメンバー入会特典は、桧原湖ガイド・渡部圭一郎がプロデュースする3ピースカップノイジー『エアロツイスター/AEROTWISTER』です。
一見ありきたりなカップノイジーに見えるが、薄くたわむポリカーボネイト製カップが、水面を跳ねてしまうようなファストリトリーブでも水をしっかりと掴みます。水面を騒がしくアクションする姿は、あたかもベイトが水面を逃げ惑う姿やベイトやエビなど甲殻類を追いかけ回すフィッシュイーターを演出。その姿を見たバスにスイッチを入れバイトへと導いてくれる、ファストリトリーブ特化型のカップノイジーです。
Type:SURFACE model
Length:140mm
Weight:1oz出典:デプス
表層の高速リトリーブで使用するルアーだけに、魚のバイトも非常に激しいのが最大の特長。
3カ所のトリプルフックは多いと感じるが、高速でぶつかってくる魚に掛かることを優先したセッティングで決定。
渡部氏の経験上、MAXレベルの高速巻きで掛かってくるのは、フロントフックではなく、センターかリアが多いとのこと。
この独自すぎるフックセッティングで、さらに特長的な極薄カップを搭載。
エアロツイスターでしか演出できないアクションを引きだすための、完全なレーシングセッティングが完成した。
3連結ボディの意味
多連結ボディのエアロツイスター。
縦に偏平の3ジョイント設計だが、その理由とは?
カップで水を受ける構造上、ジョイントでなければ動いた時に跳ねあがってしまうそうで、3ジョイントにすることで前部に加わる力をリアボディで逃し、水から飛び跳ねづらくなる。
縦に偏平で、3ピースボディのジョイント構造。さらに水を受け流す極薄カップ。
この三つ巴構造が回収と同じぐらいの高速リトリーブでも水をしっかりと掴み、破綻することなく艶めかしく激しく動くオリジナルアクションを実現した。
使い方の基本。「さらに速く巻く」こと
表層の高速リトリーブに特化したエアロツイスター。
渡部氏が感じた使い方の基本とは?
エアロツイスターを使ってくれているガイドゲストの使い方を見ていて感じたのは、巻くスピードが遅すぎること。
一般的に、渡部氏がベストと感じる巻きスピードは速すぎて食ってこないと感じるかもしれない。
それぐらい速く巻くのがオススメ!
コツはエアロツイスターが水面を飛び跳ねないギリギリのスピード。
キャストミスした時の回収巻きか、それよりも速いスピードで巻いてみるのが面白い。
桧原湖だけに留まらず、リザーバーやため池でも多くの釣果を叩きだしているエアロツイスター。
その理由はエビ食いバスに効くところ。
この破壊力には某プロアングラーも昔から注目していたことを付け加えておきたい。
特殊な形状と構造で、特殊な使い方に特化したエアロツイスター。
想像を絶する高速リトリーブで使うルアーだが、この使い方だからこそ味わえる衝撃的なバイトが存在する。
Vish Roots of Deps 第二章 渡部圭一郎×エアロツイスター