湖流に左右される琵琶湖のメカニズムとは?
南湖LOVERのロケでも珍しい全開放流。
状況がよいタイミングがきた時に即ロケできるスクランブル出発のロケであれば、全開なりたての時に釣りがもきるが、指折りの人気ガイドたまらんばい永野。
ロケの日程は、かなり前から決まっているので、その時の状況に合わせた釣りで、一番アツいモノをお届けするのが、いつもの南湖LOVER。
なので特段、南湖LOVERのロケはキビしい時が多い!
そんな今回も全開放流になって数日後。でも、今までなかなか全開放流のタイミングで訪れることはなかった。
ちなみに、琵琶湖によくくる人は全開放流がどれほど流れているか知っていると思われるが、水量でいえば1秒で600ー800トンの水が流れていることになる。
たまらんばい的例えとして、小学校のプール2個分の水量が1秒間になくなっているとのこと。
ノーカレントに慣れ親しんでいる人にとって、ここまで流れている琵琶湖は、釣れそうな雰囲気しか感じない。
普段は流れることのない浅い場所も流れが効くため、流れはじめた時は魚にとって活性もUPするファクターになる。
今回はそういった状況であり環境だったため、シャローエリアを中心に展開してというわけだった。
全開放流といえど、なかなか細かくお伝えできる機会がなかったため、永野くんには全開放流時はこうなっているというのを、いつもの図解で解説してもらった。
琵琶湖の南湖で流れというのは、北湖から入ってチャンネルラインに沿って少し西側に寄っている。
今はなき六本柱あたりから流れは二手に分かれ、片方は西の浜大津方面、片方は北山田方面に向かう。
その二手の流れはディープホールを取り囲むように流れ、近江大橋で1つに合わさって最終的には瀬田川に集約される。
これが琵琶湖南湖を流れる湖流(カレント)の動き。
全開放流になると、流れがどう働くのか?
ボディウォーターの勢いが全開になると南湖はどうなるか?
マップを見てもらうと分かる通り、各ワンド状のエリアは入口が岬状に張りだしているが、その場所に湖流がブチ当たることになる。
こういったエリアは南湖にいろいろあって、西岸は山ノ下、雄琴、カネカ、井筒、唐崎などなど、でてくるエリアは絶対によく釣れる場所ばかり。
つまり、水の流れが当たる場所=水が動く場所。
南に向かうほど流れは弱くなるが、全開放流時だけじゃなく、現在のように15トン放流だったとして、大雨などで放流量が15トンよりも増加すると考えると、狙いドコロは絞れてくるはず。
湖流が発生しない水位や放流量の時は南湖の北部や真ん中にボートが集まる理由も見えてくる。それは強制的に水が動くから!
片や東側。
六本柱を境に二手に分かれた東側の湖流は、草津川沖を通って北山田、矢橋エリアを流れていく。
流れの強さ次第で矢橋は人工島の中も流れが行き渡る。
今回のロケでは人工島内の流れもスゴかった。
流れが1本の中部では赤野井の湾内、下物の北部で水門の沖も水が大きく動く。
昔は大雨が降れば極端に放流、ストップを繰り返していたまさに天然のダム状態だったが、現在は絶妙なコントロールで時期相応の水位をキープしている。
全開放流は雨などによる極端な増水が起こった時の対策。それぞれの時期で定められた水位に合わせて瀬田川の堰で調整する。
梅雨時期からは洪水対策でマイナス20cmが基準。
このロケのタイミングで水位はプラス8cm(最大プラス20cmほどまで上昇)だったが、これは数日間の全開放流があっての水位。ここまで増水すれば浅い所まで水が行き届く。
つまりは、普段は水が止まってるエリアも水が回りやすくなる。
ただ、放流量が高まったらシャローだけなのかといえばそうでもない。
沖のウイードエッジや地形の変化で流れが巻いたりゆるむ場所がある。
こういった場所は岸の地形から読み解けば見えてくるが、岬状の地形は遥か沖まで張りだしているため、そこに当たる流れは細かく分かれたり、細くなったりする。
こういった場所が状況次第で「よく釣れる」場所になったりする。魚が絡む所は絶対に何かよい条件や環境がある。
琵琶湖を流れる湖流は強ければいいのか?
全開放流だったり、放流量が急に強くなったりすると、アングラー的にはテンションがUPする。
ただ、流れがあればいつもどこでも釣れるのかは疑問。
特に全開放流だったり、400トンなどの流れが強い時ほど、魚の反応も初期と後期があるとのこと。
夏シーズンで水温も気温も高くなってきたタイミングだと仮定して、一番よい思いができるのは、もちろん一気に強い流れが発生した時。
SNSなどで放流のアナウンスが流れた時は、だいたい何時から何時まで(11時~16時など)と記載されているが、最大数値になるのは記載時間の最後。
時間を掛けて徐々に流していくため、水の動きにタイムラグが発生するのは頭に入れておいてもらいたい。
仮に全開放流になった時は、生ぬるくなった水が流れて動くわけで、魚的には涼しくなってテンションは激的にUPする。
この時は条件にハマったエリアが全体的によくなることは予想できる。
ただ、このハイテンションもずっとは続かない。
全開放流が行われた時は長く続いても2日か1日半ぐらい。これは水温の低下スピードにもよるところ。
このグラフは、たまらんばいのガイド経験から感じた一例。
全開放流による水温低下で魚の動きに変化がでてくる。
これは流れが当たりやすい場所での反応で、魚も水当たりが少ないエリアに移動しやすくなる。
そこまで移動ができないエリアの魚は、動きも抑えつけられているようなイメージを持っているとのこと。
全開放流初期はフルパワーで水面まで反応していた魚だが、時間経過とともに浮かなくなり、最終的には底の方まで落とさないと反応しなくなるのが定説。
極端にいえば、トップや巻きモノでガンガン反応していた魚は、少しずつ反応するレンジが下がっていく。
最終的には全開放流で水が流れていても、ノーシンカーやライトリグで沈めてスローにしないと食ってこなくなる。
流れがない状態からの放流量UPは基本的によいことずくめだが、流れが続くことによる水温低下や水位低下が魚の動きにブレーキをかける。
もちろん湖流が強く流れ続けている時に流れがゆるんだり止まることがあれば、そのタイミングでよくなる場所も必ずでてくる。